山口県立山口博物館の歴史は、明治45年(1912年)に開設した防長教育博物館まで遡ります。大正6年(1917年)に山口県立教育博物館として県に移管され、その後、収蔵資料を守るための休館や戦後の改編を経て、昭和25年(1950年)に山口県立山口博物館が発足しました。県立の総合博物館としては全国でも有数の歴史を誇り、天文、地学、植物、動物、考古、歴史、理工の7つの分野を有しています。
さて、近年の博物館を取り巻く環境の変化の一つとして、令和5年4月1日の「博物館法の一部を改正する法律」(改正博物館法)の施行があります。このたびの改正により、博物館には、教育や文化の域を超えて、まちづくり、観光、産業、福祉、国際交流といったさまざまな分野との連携による地域社会の発展に向けた貢献など、社会的・経済的な役割を担うことが期待されることとなりました。
折しも山口県では、令和8年秋の「山口デスティネーションキャンペーン」に向けて、本県への誘客を拡大する動きが始まろうとしています。こうした社会の変化や期待も踏まえながら、常設展示はもとより、夏季に開催する特別展「山陽新幹線50年展」、企画展として前期に開催する「やまぐち植物さんぽ【その2】絶景×植物×『お宝』標本」、後期に開催する「中世山口への海と道」等の内容を、「本物」の資料に触れていただくリアルとデジタル技術を活用したバーチャルのベストミックスを図るとともに、体験型の展示も取り入れながら、魅力あるものにしていきたいと考えています。
また、県民の皆様を対象に多彩な講座や教室を開設する「教育普及活動」、長期研修教員であるミュージアム・ティーチャー(MT)と学芸員とが連携して学校や地域の学習活動を支援する「博物館学校地域連携教育支援事業」等についても、長年にわたって培った実績に基づき、さらなる充実に努めてまいります。
これからも、県民の皆様のニーズを踏まえた展示内容の工夫、学校・地域と連携した教育普及活動の充実、こうした諸活動の基盤となる調査研究等に積極的に取り組んでまいりますので、皆様のご来館とご利用を心からお待ちしております。
令和7年4月
山口県立山口博物館
館長 西 村 和 彦